歯科医師の就職市場(2025年版)

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1. 市場の全体動向

2025年時点でも、歯科医師の就職市場は地域による二極化が続いています。

・都市部:求人倍率が高く、競争が激しい。人気エリア(東京・大阪・名古屋など)では応募者数が多く、給与や待遇よりも勤務環境・スキルアップ要素が重視される傾向。

・地方:慢性的な人材不足。特に訪問歯科・小児歯科・地域包括ケアの需要が高く、求人倍率は約1.5倍と比較的高水準を維持しています。

2. 求人動向と人気分野

2025年の歯科業界では、以下の分野の需要が拡大しています:

分野 求人傾向 特徴
訪問歯科 高齢化の進行に伴い、在宅診療ニーズが急増。経験者は高待遇。
予防歯科 「国民皆歯科健診」政策により注目度上昇。衛生士とのチーム医療重視。
小児歯科 共働き世帯の増加により、定期通院の需要が安定。
インプラント・審美歯科 景気や地域格差の影響を受けやすい。都市部中心。
口腔外科・障がい者歯科 大学病院や地域中核医療でのニーズ高。経験者優遇。

3. 採用側の動き

医院側の採用戦略も多様化しています。近年は「リクルート特化型ホームページ」や「SNS採用」、「バーチャル見学動画(例:DEN-PROなど)」を活用する医院が増加。求職者とのミスマッチを防ぎ、職場の雰囲気を伝える取り組みが主流になっています。

4. 歯科医師の就職率と待遇

・新卒歯科医師の就職率:98%超
・初任給の相場:

o 都市部勤務:30〜40万円

o 地方勤務:35〜50万円(住宅補助・社用車付きなどの手当含む)

• 平均年収:

o 開業医:約1,000〜1,500万円

o 勤務医:約600〜800万円

勤務医の給与は近年やや上昇傾向にあり、特に訪問診療・口腔外科経験者は高待遇での採用が進んでいます。

5. 課題:地域偏在とキャリアの多様化

・都市部への歯科医師集中(大型法人含む)

・地方・離島・高齢者施設では人材確保が困難

・医療DX・予防医療・訪問診療への対応力が問われる

こうした背景から、今後は「地域医療・多職種連携・在宅対応スキル」を持つ歯科医師が高く評価される見込みです。

6. 今後の展望

・「国民皆歯科健診」政策の本格化で、予防・検診需要が拡大

・AI・口腔データ活用による診療効率化

・リカレント教育・専門資格制度の充実でスキルの可視化が進む

特に、歯科衛生士・技工士とのチーム医療や、地域包括ケアとの連携が重視され、歯科医師も「技術者」から「地域の健康マネージャー」への役割変化が求められています。